3月下旬、横浜地裁川崎支部の第1号法廷。原告の男性(当時40)は席に座ると、目をつぶって胸の高鳴りを抑えた。この1週間、不安と緊張で眠りが浅い。
裁判長から告げられた判決は、「請求をいずれも棄却する」。
男性は冷静になるよう自らに言い聞かせて、直後の記者会見で宣言した。「納得できない。控訴してたたかっていきたい」
裁判の相手は、大手運送会社の日本通運。かつての勤め先だ。
男性はもともと父親が経営する建築系の会社で働いていたが、経営破綻(はたん)し、ITベンチャーなどを転々としていた。登録した派遣会社に「派遣先で社員になれる可能性がある」と勧められ、2012年に事務職で派遣されたのが日通の支店だった。翌年から日通に直接雇われ、1年間の契約社員になった。「やっと安定した仕事につけた」と喜んだ。
その後も契約の更新を重ねて…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル